原付を買ったときの話
4年前、母が介護施設に入ったときに原付を買った。
施設には毎日通うつもりだったので、原付があればなにかと便利だと思ったからだ。
最初は中古車を探してみたが、最も安いものでも6万円程度で、タイヤは減っているし、すぐにでも故障しそうな感じがした。
改めて新車の安いのを探したら、スズキのレッツ4の中国製が8万ちょっとで出ていたので、これにした。実際には整備費とかいうよく分からない名目で費用が加算されて、全部で10万くらいになった。まあ電動アシスト自転車より安い。
原付免許は16歳になってすぐに取ったし、学生の頃には電報配達のアルバイトをして毎日何十kmも走っていたので、運転は問題ないだろうとは思っていたが、なにしろ40年ぶりなので少しは不安もあった。
納品の日になって、ショップで恐る恐るバイクにまたがってみた。
過去に、クラッチ無しではスーパーカブに乗ったことがあるが、ほとんどはクラッチがついてるタイプだったし、ギアすら付いてないスクータータイプは初めてだ。
そっとアクセルを開けたつもりが、結構急に開いてしまったようで、カクンとクラッチが繋がったと思ったら、猛烈な勢いで飛び出してしまった。あわててアクセルをゆるめると、今度はエンジンブレーキがものすごく効いて、前のめりに止まりそうになる。
アクセルの開き加減を微妙にコントロールするものの、急発進、急減速を繰り返すようなぎこちない運転になってしまった。
その後1000キロメートルほど走ったらスムーズに走れるようになったが、どうやら新車のうちはクラッチの遊びというか、すべりがなく、エンジンがある回転数になるとカクンと繋がってしまうことにも原因があったように思う。
母の施設に通うようになって、後続車をスムーズに追い越させるためにエンジンブレーキで速度を落とすと、後輪がグラグラッと横に揺れるといういやな癖があることが分かった。
歳のせいで平衡感覚が弱っているのかなとも思ってみたが、どうもバイクに原因がありそうな気もしていた。
点検のときにショップで聞いてみても、特にそういう問題があるとは聞いてないという。
ところが、買って1年くらい経ったときに、スズキからハガキが来た。
このバイクのリアサスペンションに問題が見つかったので、無償で交換しますという案内だった。
すぐにショップに持ち込んでサスペンションを交換してもらったら、減速時にケツを振るという現象はピタッと治まった。やっぱりバイクが悪かったんだ。歳のせいではない。
その後は特に問題も無く順調に動いている。